一橋大学

EUワークショップ 2020年11月4日 報告者コメント

2020年11月5日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ2020115

法学研究科修士課程1年 二見華

修士課程1年の二見です。最終的には日仏の政策や制度比較を行う予定なのですが、今回は、その準備段階として現在研究を進めているEUの情報社会指令に関連するEU判決の紹介をさせていただきました。

紹介したのは、EU判決の界隈でも有名なSzpunar法務官のZiggo BV判決への意見書です。発表では触れなかったのですが、彼の意見書の冒頭部分では、著作権保護に関するオーストラリア判事の言葉を引用しており、被告が運営していたTPBにおいて、著作権違反のファイルがどのように機能するかを説明しています。(以下opinion of advocate general Szpunar 8 February 201, Stichting Brein, C-610/15から引用)

“…the file being shared in the swarm is the treasure, the BitTorrent client is the ship, the .torrent file is the treasure map, The Pirate Bay provides treasure map free of charge and the tracker is the wise old man that needs to be consulted to understand the treasure map.”

意見書では、オンライン共有プラットフォームの管理者が公衆伝達行為を行っているかどうかについて検討され、「公衆伝達」と「公衆」の定義が提示されていることを強調しました。

質疑応答では、他の類似した判例の存在、今回の判例紹介と今後の比較法研究の意義、国際的な枠組み形成の動向などが指摘されました。また、国内の「間接侵害」という言葉に関する傾向の調査も引き続き行う必要性を感じました。加えて、プラットフォーム、P2P、公衆伝達権等の専門的な用語を詳しく説明する余地があると感じたため、今後の発表に反映させていただきます。