一橋大学

EUワークショップ 2020年11月4日 コメンテーターのコメント

2020年11月4日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ 2020年11⽉4⽇

コメンテーター:経済学研究科修⼠課程1年 ⼤國眞輝

 

報告者:⼆⾒華さん「欧州におけるオンラインプラットフォームの管理者の著作権侵害責任

について −Ziggo BV事件の判決前意⾒書と判決を基に」

 

今回の⼆⾒さんの発表では、Ziggo BV事件の判決前意⾒書と判決を基に、オンラインプ

ラットフォームの管理者の負う著作権侵害責任について考察されていました。前回発表と

同様にEU 指令に関連する判決を扱い、⽇仏の法令及び政策の⽐較からオンラインプラッ

トフォームの在り⽅についての提⾔を⾒据えた発表でした。

 

質疑応答では、主に以下の3 点について意⾒が交わされました。まず1 点⽬は、プラッ

トフォーム上の著作権侵害の責任の所在についてであり、悪質なユーザーの特定の難しさ

ゆえにプラットフォームの管理者が責任を負わざるを得ない状況であり、技術的な進歩か

ら特定が容易になったとしても管理者が⼀定の責任を負う必要があるとの認識が⽰されま

した。次に2点⽬は、⽇本とEU(あるいはフランス)を⽐較することの重要性についてで

あり、EUが当分野における規制の先駆者であることから、⽇本の現状及びEUでの規制の

導⼊可能性を探る点にあるという回答が得られました。3点⽬は、オンラインプラットフォ

ーム上での著作権侵害の国際的な規制の枠組みについてであり、規制の統⼀化が望まれる

と同時に、当分野のEUの取り組みの重要性が確認されました。

 

報告者:上野貴彦さん「スペインの移住労働者と COVID-19 −「エッセンシャル・ワー

カーのジレンマ」のなかで」

 

今回の上野さんの発表では、パンデミック下における、スペインにおける外国⼈労働者の

境遇と、それに対する政策対応の現状を分析するとともに、今後の論点を提⽰されました。

スペインにおいて、移⺠労働者の滞在・就労・福祉の諸問題の連関が顕在化し、包摂と排除

の間で揺らぐ政策の様相について論じられました。

 

質疑応答では、主に以下の3 点について意⾒が交わされました。まず1 点⽬は、移⺠労

働者の諸問題の例として家事労働者の失業給付問題を取り上げることついてであり、⼀般

化は難しいものの、それがパンデミック以前からの問題であったものの、今回の危機の中で

注⽬された事例として重要性を持つとの認識が⽰されました。次に2 点⽬は、移⺠労働者

の地理的分布についてであり、家事労働者が都市圏に集中する⼀⽅で、スペイン南部を中⼼

に農業に従事する移⺠労働者の存在を考えることの意義について回答されました。最後に、

社会労働党政権のもとで、極右政党の台頭を横⽬に、移⺠労働者に対しての政策が包摂と排

除の間で揺れている現状について、EU域内における旧社会党系の勢⼒の移⺠に対する姿勢

を絡めて論じられました。

 

以上。