一橋大学

EUワークショップ・コメント(2015年5月27日)

2015年6月1日法学研究科

こんにちは。

国際・公共政策大学院、修士2年、葉懿芳(ヨウイホウ)です。

今回は2015/05/27のワークショップにおいての、法学研究科修士1年、川上 愛さん、法学研究科博士1年、本庄 萌さんの発表に関するコメントを書かせていただきます。

川上さんの発表はテロリストと公正裁判を受ける権利という主題のもと、テロリストの人権保護に注目し、国際人権法と国際人道法の適用性の模索、アメリカとイギリスのテロ裁判を比較する、というものでした。

川上さんは、テロリストの定義に対し、通説のテロリスト行為を行ったものがテロリストという行為説をとらずに、直接行為を行なっていないが間接的テロリスト行為への協力も含めたより包括的な定義を持つ性質説を採用した。裁判上テロリスト行為への協力が起訴されているケースも含めて分析しようとする意気込むが見えます。川上さんの研究は、公正裁判を受ける権利の権原を自由権規約第14条と基軸に置きつつ、イギリスの刑事裁判プロセスと自由権規約第14条を照らしながら、ロンドン爆発事件一連の裁判の紹介をなさり、ECJECHRでの判例・意見はどのように解釈しているかということにも注目したいと発表を締めくくられました。

テロリストをどう裁くことについて、テロリストが文民であるか戦闘員であるか、適用の国際法が異なります。しかしながら、戦闘員と文民の境界線がどんどん不明確になって、由来している裁判の枠組みに限界を感じながら、被疑者裁判上の権利をどう保護するか、議論がさらに展開されていくことが見込まれます。

本庄さんの発表は、EUの化粧品開発における動物実験禁止法と日本への適用可能性という主題でした。本庄さんはこれまでの研究はEUにおける動物福祉法の概要と化粧品に関する動物実験を禁止する規則(EU REQULATION 1223/2009)についての検討を行ってきたが、相対的規制緩和の日本が如何に動物実験を禁止するかを、動物福祉の側面から焦点を当ててました。

日本の現行法に動物実験禁止の規定が存在していない上、医薬部外品(EU化粧品の範囲)新成分の認可の際などの場合に動物実験を間接的に要請することがあると指摘した。また、EUが先陣を切って動物実験禁止運動をグローバル的な展開している中、将来化粧品における動物実験禁止のEUの規制力形成に念頭置き、動物実験の信頼性への疑念と近年代替法の発展も含めて、日本法改正/制定の可能性が高まってると思われます。従って、EU法が如何に日本法政策に影響を持つする観点から、本庄さんの今後の研究とその成果に関する報告が期待されます。