一橋大学

EUワークショップ 2018年5月7日 学生コメンテーター

2018年5月10日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

 

201859日(ヨーロッパ・デー)

 

コメンテーター:吉本 文

 

 

 

1.石井雅浩さんの報告

 

石井さんは、『EUエネルギー同盟とグローバル・ガバナンス』というタイトルの下、(1EUはどのようにグローバルなエネルギー・ガバナンスへと関与しているか、(2EUの関与の在り方にマルチレベル・ガバナンスの側面はみられるか、(3EUにおける政策概念としての「エネルギー同盟」の導入により、この関与の在り方に変化はあったかについて報告されました。

 

第一の点について、石井さんは、EUの関与形態を、EU規則の拡張と収斂(ボトムアップ型志向の関与)、及び、EUエネルギー規則の国際基準・標準化(トップダウン型志向の関与)にわけて分析されていました。この分け方及びネーミングについて質問が集中しました。例えば、両関与形態を識別するメルクマールは何かといった質問や、事実上トップダウンであるが、形式上ボトムアップであるという状態が生じうるという指摘、さらに、「ボトムアップ/トップダウン」という名称は、政府対市民の構図を連想させるといった指摘が学生や先生からなされました。

 

 

 

2.上野貴彦さんの報告

 

上野さんは、『EU域内移住者のトランスナショナリズムと社会的協会の再編――マルチスケール状況におけるスペインとルーマニアをまたぐ移住者の/への眼差し(前編)――』という標題で、移民送出地域側の視点から、スペインにおけるルーマニア人についての先行研究を整理されました。報告では、EUの文脈で移住拡大が取り上げられる以前にも、ルーマニアから国外へ移住する様々なチャンネルがあり、消えたチャンネルも存在したということが明らかにされました。

 

これまでのEUワークショップで上野さんはスペインにおける移民に対する反うわさ政策に関してご報告されてきたため、本報告と反うわさ政策の研究との関係について質問がなされました。また、上野さんは本報告で、6月の聞き取り調査に向けた先行研究整理をしたいと冒頭で話されていたことから、本報告と聞き取り調査の関係についても質問がなされました。

 

 

いずれの報告においても、研究の大枠についての質問が多く見受けられました。