EUワークショップ 学生コメント 2016年5月25日
2016年6月13日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
法学研究科 法学・国際法専攻
博士後期課程1年 葉懿芳(ヨウイホウ)
今回は5月25日に行われたEUワークショップにおける法学研究科博士後期課程1年の石井さんによる「EUエネルギー外交:エネルギー同盟政策の展開と域内・域外関係への影響」関する研究報告と社会学研究科修士課程の上野さんによる「ポスト多文化主義批判時代におけるインターカルチュラリズム」に関する研究報告とについて、コメンテーターとして報告させていただきます。
報告者の石井さんは、これまでの研究とこれからの研究を本ワークショップの場でなされてきました。今後の博士後期課程における研究の方向性について、修士論文で扱った60~80年代のNATOを中心としたインフラ事例を活かしつつ。より現代におけエネルギー・インフラを中心とした対外政策に着目し研究されるそうです。
石井さんは、EUが現在行動を取るためにはリスボン条約に法的根拠がさだめらている必要である確認した。EUのエネルギー外交を考慮する場合、EU対外行動に関する権限についても抑える必要があると指摘されました。報告後の参加者からのコメントでは、研究の位置つけと政策評価の可能など質問されました。エネルギー政策・外交政策のフュージョンにおけるEUの影響力というホットなテーマである本研究の進展は、注目すべきと思われます。
一方、報告者の上野さんは、インターカルチュラリズムに着目し、スペイン・バルセロナの反うわさ戦略を中心に報告しました。上野さんの研究では、地域主義の強いカタルーニャの州都であるとともに。欧州最高レベルの外国人人口比を有し、スペインでも最も先進的とされる移民統合政策を独自に策定しているバルセロナの事例に注目しつつ、そこから欧州全体の新たな傾向を考察されるそうです。
上野さんは、バルセロナの反うわさ戦略が生成された背景について、欧州全体並びに南欧の文脈で理解し、先行研究を参照し、理論的課題に関して研究されています。それを踏まえて、反うわさ戦略の定着・伝過程を概観し、その特徴を把握するとともに、今後の分析課題を提示されています。報告後の参加者からのコメントでは、インターカルチュラリズムが内包した意味の議論、欧州レベルのEUとCOEの移民統合政策・プロジェクトを区別する重要性が述べられました。欧州国家における移民統合政策は、現在最も注目されている議題といえるであろう。本研究の進展について、期待されています。