2017年6月14日のEUワークショップの学生コメント
2017年6月15日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
法学研究科 法学・国際法専攻
博士後期課程2年 葉懿芳(ヨウイホウ)
今回は6月14日に行われたEUワークショップにおける法学研究科修士1年の譚さんによる「EUおけるデジタル単一市場ー著作権制度の現代化」関する研究報告について、コメンテーターとして報告させていただきます。
報告者の譚さんは、知的財産権のなかでも著作権は、加盟国がそれぞれの国内法に従い、加盟国の間にある著作権制度が相違していると指摘した。EUは、域内のデジタル市場を一つに統合し、公正な競争ルールの下、デジタル単一市場(DSM)の構築に乗り出した。ただし、EUは、加盟国間の異なる法律、制度、通信環境などを整備し統一ルールを作りなきゃいけないため、著作権に関するデジタル単一市場指令COM(2016)593の法案を提出した。
DSM構築はEU域内に限らず、グローバルな視点からも大きなインパクトをもたらすと予想される。28加盟国、5億人の潜在顧客を有するデジタル市場が誕生することになるので、これからは、デジタルコンテンツを海外展開するIT企業や、EUにビジネス拠点を置く、もしくはEU企業とビジネスを行っている他国企業からはDSMに高い関心が寄せられているであろう。
中西先生からは、単一市場の分野ですが、通常の立法手続きを行うため、採択までに少し延ばされると指摘した。また、指令がまだ採択されていないので、研究手法としては法案の内容と現有の判決を分析や比較法のアプローチを取れるとアドバイスした。秋山先生からは、研究の範囲を絞って、参考文献や資料の出処の明記をした方が参加者の理解を高めると指摘した。
報告後の参加者からは、用語の意味や資料の更新、コンテンツの管理及び放送ルーツ・リアルタイムの放送などの議論現状などの質問がありました。デジタル単一市場におけるEU立法過程・規制の形成というホットなテーマである本研究の進展は、注目すべきと思われます。