一橋大学

学生コメント(10月20日)

2015年12月6日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

みなさん、こんにちは。法学研究科博士課程1年の菅沼です。

10月21日のEUワークショップの2人の研究報告についてコメントを述べさせていただきます。

1人目の報告者は、法学研究科博士課程3年の周さんです。

周さんは、企業結合規制の欧中比較研究を研究テーマとしています。

報告内容は、前回までの報告内容を簡明に紹介したうえで、企業結合の禁止事例として、P3ネットワーク事件の判例検討を行うというものでした。

中国において、海運大手3社が提携して「P3ネットワーク」を組織する計画について、中国商務部がその計画を承認しなかった、という事例です。

当該事例における、海運3社のアジア‐欧州間航路におけるP3ネットワーク計画は、欧州委員会では承認されており、中国商務部と欧州委員会で判断が分かれた要因に関して、ワークショップでは活発な議論が交わされました。

独占禁止法の企業結合規制の審査の判断基準についての比較法研究はたいへん興味深く、今後の研究のさらなる進展が待望されます。

2人目の報告者は商学研究科修士課程2年の楊さんです。

楊さんは、物流に関して、ASEANEUの比較研究を研究テーマとしています。

ASEANが物流等に関して、EUのような共同体に進むのかどうか、というASEANの将来像をめぐる問題について、今回のワークショップでは報告・議論が行われました。

AECASEAN経済共同体)とEUの違いを、共通域外関税や人の移動や共通通貨の有無等について示したうえで、EUASEANの物流ルートの状況を紹介し、今後の展望を探るという内容でした。

インフラと物流の関係等について、私は普段十分意識せずに日々を送っていますが、インフラの整備度合が物流に大きく関わってくるという指摘はたいへん興味をそそられました。

また、共通通貨や関税同盟に関するASEANの目指すところについての議論は、EUとの比較を行うことによって、違いと共通点がより明瞭になりました。

周さんの今回の事例報告が海運会社についてのものであったこともあり、楊さんの報告とも合わせて、EUASEAN・中国の物流に思いをはせる、空間的にスケールの大きい問題に思いをはせたワークショップでした。