一橋大学

学生コメンテーター(15)

2014年12月15日法学研究科

こんにちは。

言語社会研究科、修士1年、岡田篤旺です。

今回は2014/12/10のワークショップにおいての、商学研究科修士1年、楊絮さん、社会学研究科、加藤幹隆さんの発表に関するコメントを書かせていただきます。

楊さんの発表はサプライチェーンのグローバル展開という主題のもと、自動車メーカーのサプライチェーンのグローバル展開に注目し、EUの単一輸送地域との比較、アジア地域における可能性の模索をする、というものでした。

楊さんは、アジア地域のロジスティクスに関して多くの具体例を挙げながら、アジア各国のビジネス習慣、国家制度等の枠組みを越えて、競争を促進するルールを設定することが必須であり、ここには補助金競争のジレンマや、企業国籍による差別、制度的国家間差異があり、これを縮めていくことが、地域全体の物流の効率化を図ることが出来ると述べられました。確かにEUでは多くの障壁が撤廃されているが、アジア圏では未整備であると考えられますし、これを学術的視点から、より良い方法を考案してゆきたいという楊さんの研究は非常に展望的であると感じました。

今後は、これまではマクロ的視点からの分析に立っていたが、ミクロ的、すなわち荷主企業等個別的に注目し、どのような効率化が図られれば彼らにとって有用か、全体としてロジスティクス体制が産業構造にどのような影響を与えているか、構造自体が垂直、水平的にどのように変化しているかということにも注目したいと発表を締めくくられました。

加藤さんは前回までの発表ではオーストリア=ハンガリー帝国の最後の皇太子オットー・フォン・ハプスブルクについて、彼がどのように語られ、彼を通じてハプスブルク家がどのように語られるかについて焦点を当てていましたが、今回の発表では『欧州統合に関する歴史言説』というタイトルのもと、EUという組織がどのように歴史を語ろうとしているかということについて発表なされました。

House of European Historyというブリュッセルの歴史展示館について、現在既存建造物の会葬が行われているなかで、展示館の意義や運用方式、常設展の展示内容、展示館の設立をめぐる論争という項立てで説明され、EUがヨーロッパの歴史というものをどのように捉え、どこに軸をおいて語ろうとしているかを明らかにされました。現在展示が予定される内容は、広く欧州の歴史に関することとしているため、多くの論争がある分野に関して、どのように中立的な展示がなされるのか、今後の実際の内容拡充に興味の集まる研究だと考えさせられました。

今回の報告は以上です。