一橋大学

EUワークショップ報告者コメント(9)

2014年7月16日法学研究科

社会学研究科M2の加藤です。

64日にEUリサーチワークショップで発表させていただいた報告の概要を書かせていただきます。

EUリサーチワークショップにおいて、私は「欧州統合に関する歴史言説」と題し、欧州統合の過程で どのような歴史的な主題が統合の根拠として語られてきたか、を研究テーマとしています。

特に「ハプスブルク帝国」の語られ方を検討することを主軸としており、そのために、オーストリア=ハンガリー帝国最後の皇太子であり欧州統合運動にも関わったオットー・フォン・ハプスブルク(2011年に死去)について着目しています。

前回の発表においてはオットーの死亡記事を元に、その語られ方を検討しました。今回の発表では、オットー自身の著作を元に、ハプスブルク家に関する彼自身の語り方を検討しようとしました。

対象としたのは、オットーが書いた、16世紀のハプスブルク家の君主であるカール5世の伝記です。神聖ローマ皇帝やスペイン王ほか多数の君主位を兼ねたカール5世の支配領域は非常に広大であり、その帝国は1つのヨーロッパを指向したものとしてしばしば語られます。

オットーは伝記において、EUに発展する諸組織の淵源すらカール5世に求める描写をしており、400年以上前のカール5世の帝国を欧州統合と直接に結びつけ、その先駆者と見なすという語り方の特徴を報告において指摘しました。

報告後はワークショップの参加者や先生方から多くの意見やご指摘をいただくことができ、それらを踏まえて研究を進めていけたら、と思っています。