5月10日のEUワークショップの報告
2017年6月1日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
2017年5月10日 EUワークショップ報告者コメント
社会学研究科 博士後期課程(国際社会学)
上野貴彦
2017年5月10日のEUワークショップにおいて「移民をめぐる「うわさ」への対抗実践にみる多文化主義の刷新―『バルセロナ反うわさ戦略』 生成過程から―」と題した研究報告を行った。今回の報告では、移民に対する否定的な「うわさ」への市民ぐるみの対抗を促す試みである「バルセロナ反うわさ戦略」が、いかなる歴史・空間的背景に規定された条件・相互作用の中で、いかなる主体が、どのような問題意識から2010年に生成したのかを問うことから、多文化主義刷新の過程への社会学的接近を試みた。
報告に対する質疑応答に際し、先生方並びに参加者から有益なコメントを頂いた。とりわけ、バルセロナというフィールドの特性に関する情報の提示方法の改善方法、都市空間におけるより良い共生を求める政策が同時にとりわけ経済的な選別と分断の論理を内在してしまうという問題に関する指摘、そして「反うわさ」の効果をいかに評価するかという問題に関するコメントからは、今後のバルセロナにおける継続調査並びに「反うわさ戦略」が伝播していったスペイン他都市(ビルバオなど)との比較研究の準備に向けての重要となる示唆を得ることができた。ワークショップを通じて明確となった今後の検討課題について、継続して研究を進めたい。