一橋大学

2024年5月29日 EUワークショップ報告の要旨

2024年6月29日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ 第一回報告

IPP グローバルガバナンス1年 新美華翔

発表日:5月29日

EUワークショップにおける研究では、「現代ヨーロッパにおける移民政策の違いの原因と、それらの政策の成功および失敗の要因」をリサーチクエッションとして設定した。このクエッションを設定した理由は、ヨーロッパの移民政策の多様性を分析し、政策の違いが生じる要因を明らかにすることで、社会的緊張を緩和し、平和で協調的な社会を実現するための指針を提供できるのではないかと考えたからである。

発表では、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスの4か国を例に取り上げ、それぞれの国がどのような移民政策を行っているのか、その政策が生まれた歴史的背景を調査した。各国の移民受け入れの背景には、戦後の経済成長による労働力の需要増加や、植民地時代からの移民受け入れなどがある。戦後、各国が積極的に移民を受け入れたことから、移民とホスト国の国民との社会的統合の課題、移民の社会的排除や差別の問題、移民のEU価値観の受容問題など、さまざまな課題が生じた。各国の移民政策の違いを取り上げたが、どの観点で違いが生じるのかを明確に示すべきだとの指摘を受けた。また、今後の発展として、各国がどのような統合政策を行っているのかを調べることで、研究の質を高めることができるとのアドバイスを頂いた。

後半では、移民政策の成功例と失敗例の原因を比較し、より良い移民政策を考察したいと提案したが、移民政策の成功や失敗を判断する基準をどう設定するかについて指摘を受けた。また、ポピュリズムについて紹介した際には、ポピュリズムの定義を明確にする必要があると、コメンテーターの熊坂氏から指摘された。

次のワークショップの発表では、研究対象国を1〜2か国に絞り、測定方法を確立することに加え、「ポピュリズム=反移民政策」と直接結びつけないことを念頭に置き、詳細に調査を進めていく予定である。