一橋大学

2021年11月10日 EUワークショップ 報告者コメント

2021年11月30日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ2021年11月10日報告者コメント

報告者:二見華(法学研究科修士課程2年)

 

本報告では、修士論文のテーマである「オンラインプラットフォーム管理者の著作権侵害責任について―欧州の動向」についての中間報告として、修士論文の問題の所在、目的、目次と論文構成を報告した後に、論文の一部であるフランスにおけるオンラインコンテンツの著作権侵害対策の歴史としてDADVSI法とHADOPI法の報告を行いました。

DADVSI法とHADOPI法の制定過程とその議論は、現在のフランスにおけるインターネット上の著作権侵害侵害対策を作り上げたものであり、海賊版や違法アップロードに対抗するために個人への規制に舵を取ったフランスの過去は、今後の日本の対策を考察する際に必要な前提であると考えています。現在は、フランスだけでなく欧州全体で(2019年にデジタル単一市場に関する指令が発効したことからも)個人より大きな枠組みであるインターネットサービスプロバイダ―やプラットフォーム管理者などを規制することによって、インターネット上の著作権侵害に対抗しようという動きがあります。修士論文の結論としては、フランスの対策を取り上げ、参照することで、日本における著作権法や著作権に関する部分が改正されていない「プロバイダ責任制限法」などの再構成の可能性を提案したいと考えています。

今後の課題としては、修士論文の完成に加えて、欧州司法裁判所判決の和訳の精査やフランス語文献の翻訳作業を行いたいと考えています。

本報告をもってEUワークショップでの発表が最後となりました。教授やクラスメイトからは、ゼミでは得ることのできない角度からの指摘が多く、本授業の報告会は毎回とても刺激的なもので、自身の研究により深く向き合える機会でした。この場を借りて御礼申し上げます。