一橋大学

報告者コメント(2015年5月27日Part1)

2015年6月2日法学研究科

法学研究科修士課程1年の川上愛と申します。5月27日に研究計画について発表させていただきましたので、ご報告いたします。

学部では、対テロ裁判とアメリカの軍事法廷の実態について調べておりました。修士課程ではその上位の研究テーマとして、「国際人道法と国際人権法におけるテロと公正な裁判を受ける権利」を掲げ、両法域におけるテロリストの位置づけと権利保護の実態について調べていきたいと考えております。

EU共同研究プログラムにおいては、EU加盟国であるイギリスやフランスのテロ裁判の実態はもちろんEU独自の法システムにおいてどのようにテロ裁判を行っているのかを明らかにしたいと思います。

今回の報告では、そもそもEU法システムの概要すら理解できていない有様でしたので、EUと呼べるものはご報告することはできませんでした。よって議論の基礎となるテロリストの定義と国際諸条約との関係、関連裁判としてロッカビー事件と2006年ロンドン地下鉄爆破事件の概要を報告いたしました。

報告内容なアメリカの議論を前提にしたものでしたので、自由権規約14条のデロゲート問題など、一般論として論じるにはまだ調査があまい部分が多々ありました。また、先輩方からはEUにおける関連事件をご紹介していただいたりもしました。

似た内容を所属のゼミで報告した時には法学という視野で見ていたため、今までご指摘いただけなかったような課題点も見つかり、学際的な発表の場を頂けて本当に幸いです。法的に合法か否かではなく当時の社会的な状況も鑑みなければいけないという指摘には、自分の視野がいかに狭くなっているか気づかせてくれました。

次回の報告では、(1)自由権規約14条のデロゲート不可能論の再検討、(2)グアンタナモ基地を可能にしたアメリカの当時の国際的な立場とアメリカ以外にそのようなことが出来る国はあったのか、(3)EUでの判例紹介ができるよう研究を進めたいと思います。