一橋大学

報告者コメント(9)

2014年12月15日法学研究科

こんにちは

言語社会研究科、修士課程1年目の岡田篤旺です。

先日のワークショップでの発表ならびに先生方から頂いたコメントに際して考えさせて頂いたことを報告させていただこうと思います。

前期の発表で私は、言語政策等から、言語が移民集団やホスト集団のアイデンティティー形成にどのように関与しているか、国家間で政策などを比較するということを主眼とする研究を行うとお話しさせていただきましたが、アイデンティティーという概念をどのようにとらえるかに関して、言語的イデオロギーに注目し、移民を受入れる側の国民がどのようなイデオロギーを形成しているかということから出発する方がより根本的課題解決に繋がるという理由から、研究テーマを変えさせていただき、日本、イギリス、アメリカにおける移民施策の比較にみる言語的イデオロギーの分析、という仮題で発表をさせていただきました。

日本が技能実習生制度の拡充等、ゲストワーカーの呼び寄せに熱心である一方、入国要件等に関しては未整備であり、特に言語要件は皆無であると言えます。これに対し、主にお話しさせていただいたイギリスは、Immigration Rulesにおいて細かい要件が設定されており、言語要件も詳細に定められています。またメディアでの報道に関しても、多く問題が取沙汰されていることから、それらの分析を行うことでイギリス国民の言語的イデオロギーを導出することが出来ると考えました。

これまでは主に分析手法に関して先行研究を参照し、どのように応用出来るかについて考察してきました。イデオロギーという概念を信条として捉え、要素について細分化することでより根本的形成要素を抽出出来ると考え、これに関してメディアでのディスコースを用いようと考えていますが、そこからの要素抽出手法に関して、認知言語学の単位に注目し、より無意識的認知に影響を持つ使用言語体系や意味付けの方法という視点から、これを分析することを考えています。また世論調査のデータ等から、全体的な観念形成、移民問題という社会問題に関する意識の変容など、社会的側面に注目することも必要だと考えられるため、先行研究ならびに政府の公式統計をより綿密に分析します。

先生方からは、言語という視座に立つ研究が、時代背景的にどの程度重要なものであるか、なぜ言語という視点でイデオロギー分析をするのかという理由付けを重要視すべきというアドバイスを頂き、先行研究を、分野を言語学に限らずリサーチし、自分の研究に照らして考察することが必要だと考えました。

冬休みも目前ですが、寒さに負けず精進したいと思います。よろしくお願いします。