一橋大学

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2015年3月30日法学研究科

「EU研究共同プログラム」第2回 研究発表

商学研究科修士課程1年  楊 絮

 こんにちは、 平成26年度EUリサーチワークショップにで発表させていただいた、商学研究科修士一年の楊絮と申します。

 第一回に発表させていただいた研究計画のテーマは「EU統合・拡大過程におけるロジスティクス業界の発展と課題」に対し、12月10日のゼミナールでは、「サプライチェーンのグローバル展開と共通物流政策」というタイトルで報告を行いました。ここでその報告の概要を簡単に書かせていただきます。

 EUやアジアの諸国間におにて、FTA/EPAなどの二国間・多国間の経済協定の締結、

 新興国市場での生産・販売を目指す日系製造業、それら荷主を支援する日系物流業の進出という背景のもとで、製造業のグローバル生産、部品調達、ロジスティクスに関する意思決定に影響する要因を確認し、事例として自動車メーカーのサプライチェーンのグローバル展開を概観する。その上で、欧州の「単一欧州輸送地域」を目指す施策を参考に、アジアでどのような共通物流政策が必要なのかという論旨で報告を行いました。

 政府間協定や地域内共通物流政策といったマクロの視点から、サプライチェーンのグローバル展開の課題を分析し、日本国土交通省に提案された「アジア物流圏」の実現可能性を論じました。ただし、アジア共通物流政策の導入に向けて、幾つかの問題点が残っていると考えられる。まず、アジア各国の主権は尊重するが、競争促進のための共通ルールの導入も不可欠であり、中でも、補助金競争のジレンマから抜け出て、補助金・税金の透明性の向上を目指すべきであることが考えられます。また、荷主企業・物流企業の国籍による差別撤廃、国内物流政策・国際物流政策の整合性確保なども重要な課題であることを報告において指摘しました。

 報告後はEU研究共同プログラムの参加者や先生方に、多くの質問と意見をいただいて、自分の研究をさらに詳細的に検討する機会をくださいました。

 特に研究方法が再検討すべきであることが指摘され、今後EUとアジアの比較分析を行う際に、以下のような項目を基づいて数字で示せれば、より学術的な研究に近づきます。
①行政、税金、通関手続
②産業の変化(東欧、ASAEN)自動車の資料
③自然環境、制度上、所得、基本データの比較
④距離の問題
⑤輸送手段の比較
⑥道路状況と料金の比較 など

 また、環境問題や労働者の移動が、物流政策にどういう影響があるのかなど、大変貴重な意見とアドバイザーをいただきました。それらを踏まえて、今後の研究を進めていきたいと思います。