一橋大学

2017年12月6日のEUワークショップ 報告者コメント

2017年12月21日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ 2017年12⽉6⽇ 報告者コメント
EUにおける環境政策の仕組みおよび市民社会との連携
法学研究科 国際関係論専攻 修⼠課程1年 廖虹嫣
12⽉6⽇のEUワークショップに「EUにおける環境政策の仕組みおよび市民社会との連携」とい うテーマに関して報告をさせていただきました。  ⾼いレベルの環境保護を確保している欧州連合(EU)は、1960年代から環境への取り組みを始め ました。1972年ストックホルムで開催 された初の国連会議の後、欧州委員会は、共同体としての 政策を策定するべきと積極的に動き始め、パリで開かれた欧州理事会の強い意志によって、1973 年11⽉、共通環境政策である、初の 「環境⾏動計画」(Environmental Action Plan=EAP)が採択され ました。  これまでに環境⾏動計画が7回策定され、⾃然保護から廃棄物、気候変動まで幅広く配慮してき ました。資源の効率化を図り、「循環型経済(Circular Economy)」を⽬指しており、経済との 関係 の重要性も打ち出しています。  2000年から2012年の12年間で環境製品や環境サービス関連の雇⽤は290万⼈から実に430万⼈ま で増えてきました。このように、EUにとっても環境政策は、雇⽤創出や、投資の刺激など 、重要 な成⾧エンジンの⼀つとなりつつあります。  市民との連携を深めるため、第6次環境⾏動計画期間では、アクターの発⾔権の保証や環境奨励 策の強化が打ち出されて、第7次環境⾏動計画期間に移ると、環境に有害な補助⾦の段階的廃⽌、 労働⼒に対する税から汚染税への課税対象の転換、環境法実施における加盟各国と欧州委員会間 の連携協定の締結、EU予算の環境関連⽀出を追跡する仕組みが構築されました。具体な計画案は 2013年11⽉に欧州議会、欧州理事会で検討され、承認が得られればEUの法として成⽴しました。 それに応じて、EU⽣物多様性戦略の⾒直し、海洋統治に関する⾏動計画、⼤気の質に関する政策 群の改定など、2015年から⼀連の環境施策が特定されることになりました。 市民のアクセス権を 唱える勧告「環境問題における司法アクセス」や、環境分野、特に海洋資源への投資を重要視す る環境関連ビジネスの刺激策「ブルー成⾧(Blue Growth)」 に関⼼をはらっています。  今回の報告は、EUが推し進める環境政策と経済策の結び付きにEU市民の権利や投資活動を含め た多様なエンゲージメントに着⽬しました。前回の報告内容に出たオルフス条約との関係性とEU の環境政策と他の共通政策分野の異同など、先⽣達から質問をいただいて、環境政策における市 民参加を評判するときどのような態度を捉えて研究を進めるか、海洋資源に重みをおく修論にす るか、真剣に考えさせてくれました。ワークショップのメンバーも、取り上げられた民意調査の 詳細について討議をし、⾃分の使ったデータをうまく説明できないような感じをして、これから もっとデータを読み込んで、理解しようと努めます。