EUワークショップ(2023年6月7日)のコメンテーターによるコメント
2023年6月23日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
コメント:国際・公共政策大学院グローバルガバナンスプログラム二年 李佳欣
- 熊坂健太さん 「オランダの政治観に及ぼすポピュリズム政党の影響、またその関係性について」
熊坂さんは「民主主義と外交・対外政策の関係性とその在り方」について研究を展開しており、特にポピュリズムをはじめとする外交分野における過度な民意の介在に関する考察に重きを置いています。EUワークショップでの研究も修士論文における1章分に相当する部分的研究として行います。
EUワークショップにおいて、熊坂さんはオランダのいつかのポリュリズム政党を事例として取り上げ、「政治的カリスマ性を持つ指導者の存在が、ポピュリズム政党台頭の必要条件なのか?また、なぜそうなのか」というリサーチ・クエスチョンに取り組みたいと考えています。発表の最後、熊坂さんはポピュリズムの定義に関する曖昧さをどうのように扱うべきかを質問しました。その質問に対し、秋山先生は定義の曖昧さを自覚した上での分析は重要であるが、「ポピュリズムの概念分析」そのものから始め、概念の確定を新しい目標とすることも興味深いと提案ました。大月先生も秋山先生の意見に同意し、リアル現象(オランダの実情など)に基づく概念確定が重要であり、リアル現象に対する分析の積み上げを重視すべきだと助言しました。
熊坂さんの研究に対し、先生方々から貴重な意見をいただきました。秋山先生は、オランダだけでなく、EU諸国全体のポピュリズムのあり方を読み込み、つまりEUレベルでの民主主義に対する分析を行うことで、リサーチクエスチョンの解明が堅固になると助言しました。さらに、研究内容に関して、先生方々は学歴などによるポピュリズムに関する言論や思想の受容の割合、新聞記事、テレビニュースなど、いくつかの視点を提示しました。
李は「政治的カリスマ性」の定義とオランダにおける政治的カリスマ性を持つ指導者について質問しました。熊坂さんは「政治的カリスマ性」の定義は曖昧であるが、オランダでは与党が弱すぎるためにポピュリズムが盛んになったと回答しました。この回答に対して、秋山先生は投票行動の違いを考慮し、議席配分や投票率を分析する必要があると助言しました。
- 熊芷馨さん 「明代中期から末期に江南地域の特定の都市(杭州)、その都市の発展」
熊さんは市町村の数、人口と都市・農村人口比率、そして都市の機能という3つの要素からアプローチし、明代中期から末期における杭州の急速な発展を説明しました。
熊本先生は、都市の発展の基準として何を選んだのか、そしてなぜ明代の杭州を研究対象として選んだのかを質問しました。熊さんは、この研究では都市の経済状況を発展の基準とする予定であり、明代の杭州を研究対象として選んだ理由は他の都市に比べて杭州が重要な商業都市であり、資料が豊富だからだと回答しました。熊本先生は熊さんの回答を聞いて、時期によって都市の発展経路と原因が異なるため、明代という時期に杭州を選んだ理由はその点からアプローチする方が良いと助言しました。
秋山先生は、杭州だけでなく地域の視点を持って文献を探すことも良いと提案しました。その後、クラスからはいくつかの参考文献や書籍を勧められました。