一橋大学

EU ワークショップ 学生コメント(2016.12.16)

2016年1月8日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

20151216

EU ワークショップ 

コメンテーター

楊 絮

1. 岡田さんの発表

・テーマ

Comparative Analysis on the Linguistic Ideology of Immigration Policies:

Discourse Analysis onto the Politics and Medias of Japan and UK

・概要

岡田さんの研究は「移民」と「外国人労働者」の問題に焦点を与え、特に日本における「外国人労働者」は制度的・社会的にどのように認識されているか、これをイギリスの制度・報告と比較して明らかにすることが研究の目的である。そして、論文の分析対象を「言語的」イデオロギーとし、分析手法は報告や政策文章における「外国人労働者」や「移民」への言語的認知とイデオロギーを、ディスコース分析を通じて明確化することである。

・質問とコメント

2011年と2014年のデータを選択した原因:2011年にイギリスにおける移民政策の変化があり、同年の日本と比較すること。最新情報を取り入れために2014年のデータを確認した。

日本の状況については、「技術実習生」などのキーワードで検索し、イギリスより絶対数が少ない。外国人労働者問題を直接に記事にするのが稀である。

イギリスの全国紙と地方紙に「移民」に関する記事に違いが存在することが先行研究に指摘されている。研究対象の選別が困難であるため、今回の研究においては検討しきれていない部分がある。

分析の方法論について、記事の「見出し語」だけ分析するのは限界があり、記事の中身を確認するのも大事であると考えられる。記事によって、ポジティブイメージとネガティブイメージを、見出しではなく中身に表現するのは存在しているためである。

日本のデータ数が少ないのは、どのぐらい分析結果に影響するのかについて、数が少ないからこそ、年間の変化が大きく、イギリスと違う結論に導き可能性がある。

・まとめ

EUの移民問題や、日本の外国人労働者問題が近年において、重要視されつつあります。その中で、岡田さんの研究は言語といった文化的な側面から、定量的な分析を通じて日本とイギリスの現状を概観し、これらの問題の重要性について分析を行いました。今後の政策的な提案を期待しております。

2. 石井さんの発表

・テーマ

ロシアとヨーロッパにおけるエネルギーを巡る安全保障認識

・概要

今回の報告はエネルギー安全保障に関する研究の前半部分である。報告の目的は1979年アフガニスタン侵攻以降のNATOにおける、東側への技術移転に関する議論の動向をレーガン大統領が81年に就任するまでの期間における議論を整理し、その特徴を考察することである。

1979年末のソ連によるアフガニスタン侵攻以降、欧米諸国はNATOG7、国連などの場を用いて、これにたいする対応策を協議している。その中で、欧米諸国として、ソ連の行動とそれがもたらしている結果を受け入れられないということを基礎として連帯・団結・強さを示すことが重視され、さらにその上でソ連を国際社会から孤立させず、東西関係におけるデタントの基礎を壊さずに、対話を継続することが打ち立てられ、同内容が継続的に国際社会に発信されていたことが今回の報告によって確認された。

今後、後半部分の198211月のパイプライン制裁停止までの資料と1960年ごろの事例についての資料から加筆修正作業を行う予定。

・質問とコメント

インターンシップの収穫については、公開していないデータを一部入手でき、論文にまとめた。

修士論文の研究対象の60年代と80年代における、パイプライン制裁の歴史的な変遷などを事例として取り上げ、両時代の比較研究を行う。資料の収集について、手に入れられない資料が存在するが、分析には影響が少ない。

EU地域のエネルギーの脆弱性に問題意識を持ち、システムとしてどうのように安定していくのかについて、論文全体で議論したい。その安全保障のシステム構築に関する意識、明確的に共有されているかどうかを区別すべきである。

ソ連サイドの資料や報告などの確認を今後の課題とする。また、日本の石油企業やアメリカの企業のロシアの石油問題における利害関係に関する研究が存在する。

80年代、ロシアのエネルギー問題が広域に影響を及ぼし、当時のリーダーシップに関する議論が必要であると考えられる。

・まとめ

エネルギー問題がロシアやその周辺国だけに関連するではなく、世界範囲に影響を及ぼします。安全と安定なエネルギー供給システムの構築が望ましい。石井さんは歴史的な変遷を大量な資料の分析を通じてまとめることによって、安全保障システムの構築に

寄与するが試みています。大変興味深い研究であるため、分析の結果を楽しみにしております。