一橋大学

報告者コメント(12)

2014年11月12日法学研究科

皆さん、こんにちは。法学研究科博士後期課程の周です。この冬学期の一回目のEUワークショップで企業結合規制の欧中比較研究(4)を発表して、ここで発表内容をまとめて報告させて頂きます。

まずは、ネスレ事件を選んで、EU競争法における問題解消措置に関する事例研究について報告しました。本件は、up-front-buyerの利用とcrown jewelの規定が用いられた事例で、欧州委員会は、スペイン、ギリシャ、イタリアにおいて競争上の懸念があると判断して、ドライドッグフード、ドライキャットフード、スナックに関して競争上の問題が懸念された。問題解消措置として、NestleRalstonは、各国において、第三者である適切な購入者に資産を分割することとした。本件は、結果的に、第二の代替案に戻ることなく、欧州委員会は第一の問題解消措置を当事会社に課した。このことは、必ずしも、crown jewelの規定は、あとになって判断してみれば、不適切であったということを意味するわけなはない。それは、当事会社にとっては選択したオプションを成功させるインセンティブを増やす結果になることがあるからである。

その次、中国版の問題解消措置について発表しました。中国版の問題解消措置は、主に「企業結合審査に関する規定」と「企業結合資産又は業務の分離に関する暫定規定」という両規定で設けられている。特に「企業結合資産又は業務の分離に関する暫定規定」は、結合に参加する事業者の義務及び買受人の条件を規定し、監督受託者及び分離受託者という独立した第三者を導入することにより、企業結合における資産又は業務の分離を順調に進めることを図っている。

そして、次回の報告について、ただいま考えているのは、問題解消措置に関する欧中典型例の事例研究(つまり両方に届け出をした事例)、データ分析で企業結合の典型型とその型で付随された問題解消措置の内容を読み出すこと、と中国現行法への示唆などになります。多少変更があるかもしれませんが、次回の報告は終わったら、また皆さんに報告させて頂きます。

以上は今回の発表内容の報告です。