一橋大学

EUワークショップ 2024年6月26日 報告者コメント

2024年7月5日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ

発表者:西村朱央

 

EUワークショップにおける研究では、近年北極における気候・経済・軍事面での関心が高まっていることを背景に、北極の戦略的意義とNATOの対ロシア戦略の変化を明らかにすべく、クエスチョンとして「なぜ北極の気候問題が安全保障の問題として議論されるのか」そして「なぜNATOは北極における対ロシア戦略を強化させているのか」を設定した。

本研究を進めることは、①地政学の理論を、北極を海として扱う形に修正することにより、新たな地政学的視点を提供すること、②それに基づきNATOの戦略を分析することにより、NATOの新たな機会や脅威を認識すること、の2点の意義があると考えた。

研究方法としては、地政学の理論をいくつか取り上げ、提唱者の理論を大幅に逸脱しない形での修正を試みること、またNATOの北極における対ロシア戦略については、公式文書を元に考察することを予定していた。

今回の報告では研究対象をNATOとしたが、今後もNATOを対象に研究を進めるのか、または対象を狭めるもしくは変更するのかについては、今後の課題としている。

 

報告後の質疑応答では、2つのクエスチョンの質が異なるとのご指摘を頂いた他、国際法的観点により関心を寄せたほうが良いとのアドバイスを頂いた。また、北極の安全保障の問題は現在進行中であり、かつ将来の問題でもあることから、研究対象の選定やアカデミックな事例選択が困難であろう、との助言も頂いた。加えて、先日まで政策提言型の研究を行おうとしていたこともあり、研究の最終目標が不明確であるとのご指摘を受けた。