一橋大学

EUワークショップ 報告者によるコメント 2024年6月19日

2024年7月2日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ 第一回報告要約

社会学研究科博士後期課程 劉海寧

 

「アイルランド共和国の義務教育におけるアイルランド語政策及び教育実践」

 

 

EUワークショップにおける研究では、アイルランド共和国のアイルランド語教育実践及びそれに関連する言語政策を対象にして、エスニックマジョリティの言語なのに次第に衰退しつつある言語の維持保存や教育を分析しようとしている。個人の元々の研究と関連性は弱いが、興味本位でアイルランド語を研究したいと思う理由について、アイルランド文学は非常に豊かな蓄積がある一方で、アイルランド語を使用している文学は英語やほかの言語より少ないことが挙げられる。そのため、アイルランド共和国における教育という視角から、言語問題を解明したいと思う。

6月の発表では、アイルランドの歴史から、アイルランド語の歴史及び現在の状況を中心に報告した。アイルランド語は、英語と異なる起源を持ち、イギリスの植民や支配により、影響された。さらに、発展状況などの原因で、アイルランド出身者もアイルランド語の使用を忌避する傾向があった。教育面では、共和国成立した以来、アイルランド語を文化の一部として重視され、共和国全土の学校で必修科目の一つとして設定された。しかし、英語の優位や試験における言語多様性の重視により、大学入試でアイルランド語を選択する学生が次第に減少するという現実もある。

質疑応答の部分では、アイルランド語またはアイルランド共和国の特殊性についての質問があった。それに関しては、冒頭で論じたように、エスニックマジョリティなのに、自分の言語からほかの言語へ転換するのがそれなりの特異性があるのではないかと答えた。さらに、よりマクロ的な視角、いわゆるグローバリゼーションやヨーロッパ連合への加盟により、言語状況を分析するというアドバイスもあった。確かに自分は教育という視角だけに注目し、外部の環境を自然に無視してしまったという欠点を持った。最後に、本研究の視角が教育実践に絞るかまたはより大きな視点で分析するのかという質問に対して、自分はできればより大きな視角から研究を進み、単なるバイリンガル教育実践を研究したくないという暫定的な回答をした。

これからの計画に関しては、まず、具体的なリサーチクエスチョンを定め、それから先行研究の整理に入りたいと思う。アイルランド共和国についての予備知識や研究を進むための情報も更なる整理が必要と考える。