EUワークショップ 2021年4月28日 コメンテーターのコメント
2021年4月29日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
EUワークショップ2021年4月28日
報告者:松村一慶さん
「オーストリアの中立と冷戦」
コメンテーター:法学研究科修士課程2年 二見 華
本日は、発表者である松村さんの修士論文の研究計画についての発表がありました。研究テーマとしては、オーストリアの中立と冷戦の関連性を取り上げており、中立と独立の背景である要因をリサーチクエスチョンに盛り込んでいました。発表の大部分は、今後の研究計画について触れたもので、研究概要、リサーチクエスチョン、先行研究、研究方法と参考文献が紹介されました。
質疑緒応答では、熊本先生から中立と独立の関連性について、他の共産国の独立のモデルについて、そしてソ連からだけではなく、英米仏からの外交的なアプローチがオーストリアの独立に影響しているのかどうかについて質問が挙がりました。
亀井さんからは、1955年という年が冷戦激化の年であるという点が指摘され、オーストリア中立に関して外的な要因や圧力(例えば西ドイツの再軍備など)からの研究を進めるアドバイスがありました。
オランダにいる吉本さんは、「ソ連のドイツ中立化に対する姿勢」に関する評価について解明されることが、果たして「ソ連がオーストリア中立化をドイツ中立化のモデルにしている」ことの解明に繋がるのかについて質問がなされました。
大月先生からは、研究方法として視点の取り方をカタログ化すること、そして資料が「言っていない」ことについて着目するという提案があり、秋山先生からのコメントでは、冷戦形成期研究というフィールドは非常に幅広いため、「なぜ」という視点で研究はあまりにも複合的な要因が集まっている為難しいとの指摘がなされました。今後は、どれだけ「インパクト」があったのか、要因が結果にどう作用したのかなど、問いの方法を変える必要があるとの助言がありました。
本日は、2021年度最初の授業日でした。オンラインであった去年とは異なり、初めて対面授業が開始し、遠方にいる方々は引き続きオンライン上で授業を受けるハイブリッド型での開始となりました。また、本年度は慶応義塾大学からの履修者も参加することとなり、新しいメンバーが多く参加しています。