EUワークショップ コメンテーターコメント 2018年6月6日
2018年6月7日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)
法学研究科 法学・国際法専攻
博士後期課程3年 葉懿芳(ヨウイホウ)
今回は6月6日に行われたEUワークショップにおける経営管理研究科博士1年の李さんと法学研究科博士2年の吉本さんによる研究報告について、コメンテーターとして報告させていただきます。
報告者の李さんは、「日本水処理技術の歴史発展およびヨーロッパにおける技術応用―栗田工業の事例分析」に関する研究を報告した。その研究背景には、ヨーロッパが現在共有されている環境保護意識に基づく単一市場域内のすべての企業に高い環境基準を求めている。李さんは、そのなかの水処理技術に焦点をあたり、とりわけ日本を代表する栗田工業の事例分析を行う予定です。栗田工業はヨーロッパで成功を収めているものの、その発展歴史、要素およびプロセスについての研究が少ない。李さんは、栗田工業の事例分析を通じて、日本企業がヨーロッパで成功を収めるための経営手法を洗い出す。
報告後の参加者からは、日本企業という用語の意味や3つ異なる理論フレームワークを取る有益性などの質問がありました。しかしながら、先生たちはインタビュー成功の可能性また研究手法としてインタビューの科学上の客観性について疑問を持ちました。グロバール化社会が発展していくなか、、栗田工業モデルの解明及びそのの一般的応用性はこれから日本企業の海外進出にヒントになれると期待される。
一方、法学研究科の吉本さんからは「EUが国際協定を締結する際における法的根拠条文選択の近年の傾向と分析」に関する研究報告を行った。吉本さんは政策決定手続が両立しない法的根拠条文の併用について焦点をあたる。CFSPについての政策制定権限は閣僚理事会にあり、EU条約・EU運営条約にEUが権限を持つ政策について欧州議会や欧州委員会はその役割を果たす。2007年リスボン条約以後共通外交安全保障政策(CFSP)はEUの政策場面でのプレゼンスが高めている一方、必ずしもCFSPとCFSP以外の政策範囲の境界が明らかになっているといえない。何故ならば、吉本さんの指摘の通り、一見CFSPだけ関連する国際協定もCFSP以外の政策を含むことがある。この現象について、CFSPおよびCFSP以外に関する法的根拠条文が併用される。しかしながら、こういう併用によって政策決定過程が両立不可能のことになるため、併用が認められない。
報告後の参加者からは、CFSPに関する政策決定に閣僚理事会の権限範囲の確認、ECJ判決の流れ・議論現状などの質問がありました。また、吉本さんの研究はテクニカルの部分が多くため、難解な論述しばしば、研究の意義や問題意識が不明確のままに。中西先生や秋山先生から、用語および研究問題の説明をレジュメの最初に明記した方が参加者の理解を高めると指摘した。