一橋大学

2023年度 EUワークショップについてコメント

2024年1月21日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

熊坂 健太

トウ モネさん 『ESG とグリーンボンドの関連についての文献レビュー』について

今回のEUワークショップでは、トウさんによる「ESG とグリーンボンドの関連についての文献レビュー」について行われた。ESG投資とは、環境や社会に配慮して事業を行っていて、適切なガバナンス(企業統治)がなされている会社に投資することを指す。現在の(特に規模が大きい)企業は、特にこの影響を受けており、企業情報が公開されている場合際には、特に強調され記されるケースが多くなっている。

トウさんのプレゼンテーションは、特に世界的なESGへの関心の高まりや、グリーンポンドの積極的実施について述べられていた。グリーンボンドとは、欧州地域はESGへの関心度や貢献度が高一方で、アメリカやアジアでは低いことが示された。

一連のプレゼンテーションの後、熊本教授は企業がESG投資をするメリットや発表内で示された国別コーポレートについて質問された。特に後者について、プレゼンで述べられていなかった部分について、特に中国が首位にいることや2位にオランダがきている理由について質問された。提示された表において、分類化が明確に示されておらず、国有企業が主体の中国において企業の自主的投資は考えづらいことを指摘されていて、その解明などが必要であると述べられた。また全体的に欧州の貢献度が高いなか、オランダがその分野に力を入れている理由について個人的に気になった。

また秋山教授は、そうしたESGに関する市民社会の動きについて着目することについても示唆された。欧州独特の人類共同体的志向は、彼らの行動からも窺うことができると述べられた。それがグレタ・トゥンベリのような環境家を生み出しそれに支持が集まること、さらにマニフェストに環境政策を掲げる「緑の党」が与党入りするなど、他地域に見られない社会へのコミットメントをする傾向を指摘され、ESG投資への意味を問うときはその価値観の違いを考慮する必要があると述べられた。

ESG投資は、今後更なる普及が見込まれる。社会的意義を理解しつつ、企業価値を上げることを両輪にして考える必要がある。社会的責任だけに駆られることなく、経営を安定させるためには、冷静に状況を俯瞰し対応し続ける必要があると考える。