一橋大学

EUワークショップ コメンテーターのコメント(2018年5月16日)

2018年5月24日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

上野 貴彦(Takahiko Ueno )
一橋大学大学院社会学研究科博士課程・国際社会学

2018年5月16日のEUリサーチワークショップについて、コメント担当の上野より報告いたします。
1.川上愛さんの報告
川上さんは、「新法分野としての jus post bellum」という題目で、戦後処理法(ユス・ポスト・ベッルム)という「戦時から正しい平和への移行」を基本原則とする領域に関する法的議論が、開戦法規や国際人道法といったものと並ぶ法分野を形成しうるのかについて論じました。
先行研究における戦後処理法に関する規範的議論を敷衍し、具体的に戦後処理法が問題となる事例を、(1) 戦後社会の復興と再構築、(2) 処罰と和解、(3) 賠償と補償という三領域に分けて分析しました。
それに対し、戦後社会の復興などをめぐって、旧来の占領に関する法規では対応できない範囲とは何なのかなど、具体的な議論の位置付けをめぐる質問が複数なされ、活発な議論が展開しました。
2.Geyuijang Liu さんの報告
Liuさんは、「フランスの医療制度」について発表しました。そして、フランスの普遍主義的な医療制度における公的支出の高さに注目し、原資不足についていかなる対応がなされているのかについての財政学的分析のための情報を整理しました。
なぜフランスの事例を選択したのか、どういうアプローチで研究を進めるのか、などについて質問が出されました。普遍的医療給付制度を採用して、世界保健機関の調査によって高い評価を得ているフランスの事例を取り上げるとのことでした。これを受け、評価自体のあり方についての再検討が課題となりました。また、医療費自体の増大をめぐる問題と財源確保をめぐる問題の関連について検討することも新たな課題として提示されました。