一橋大学

EUワークショップ報告者コメント(2)

2014年5月1日lawit

EU研究共同プログラム
第1回 研究計画発表
言語社会研究科 修士課程1
LM141003 岡田篤旺

この度の発表では、自分の研究テーマ「アイデンティティー形成における言語イデオロギーの役割の比較分析——小規模集団の使用言語状況の比較より」について、大変多くの新しい視点から、さらに詳細に検討しなければならない課題を指摘していただき、とても気付きの多い議論をさせていただくことが出来ました。

秋山先生からご指摘いただいた、「政策」とイデオロギーの差異、その両者の境界の策定ということに関して、専攻研究をもっと多角的に吟味すること、さらには、イデオロギーが噴出する場としての「日常」を扱った、エスノグラフィー研究の文献調査を綿密に行わなければいけないということを再確認させられました。さらに、比較研究と銘打つことで、EUからはイギリス、それを日本とアメリカと比較するということが、共通点や共有されている問題の本質的原因の発見に繋がるのかという疑問が常に背後に感じられてしまうことが、自分のテーマの大きな課題であると考えていましたが、政策や言語状況のみに焦点を当てるだけでは見えない問題も、エスノグラフィー研究等から垣間見ることの出来る文化や、マクロの文化史、各国の地理的特徴との関連といった全く異なる視座からのアプローチも、この課題を解決する一つの糸口なのではないかとご意見をいただき、狭い視野で研究を進めるのではなく、多くの分野に目を向けながら最終的課題の発見を目指すことも重要なのだと考えさせられました。

自分の現在使える研究言語として英語のみに限られているということは致命的であるとのご指摘も受け、修士課程の限られた時間の中でどの程度他の言語の習得に集中できるかは大きな課題ですが、今後、自らの手で一次的データを集める際には必ず必要になって来るのが語学力であるというのは、避けられない問題として、こつこつと努力を重ねてゆくことが必要なのだと考えます。

このEUワークショップは、同じヨーロッパというところに焦点を当てながらも多彩なフィールドとディシプリンの方々からご助言、ご指摘をちょうだいすることが出来る、本当に刺激的な機会なのだということを改めて認識させられたので、今後の自分の研究に一つでも多く組み入れてゆくことを意識しながら、精進してゆきたいと思いますし、自分も研究が深まるにつれて、他の方々の発表に一つでも多くの建設的な意見を発信できるように知識注入に精進したいと思います。