一橋大学

EUワークショップ・報告者コメント(2015年6月17日分)

2015年6月26日法学研究科

皆さん、こんにちは。法学研究科博士後期課程の周です。この夏学期の一回目のEUワークショップで企業結合規制の欧中比較研究(5)を発表して、ここで発表内容をまとめて報告させて頂きます。

今回は、引き続き中国版の問題解消措置に関する研究を報告しました。商務部独占禁止局の公表情報により、2015年3月現在、企業結合案件は合計912件が審査済である。審査済事件の中、禁止事件2件(コカ・コーラ事件、P3ネットワーク結成事件)、条件付き承認24件、無条件承認886件が含まれている。中国はEUと同じく、問題解消措置は構造に関する措置と行動に関する措置に分けて、そして実際にどちらにも属しない「特別措置」も存在しています。そして、行動に関する措置の中、「独立運営」という深く考えれば理不尽な措置も採られています。例として、「丸紅事件」において、商務部により「丸紅の大豆子会社とガビロンの大豆子会社は人事の任免、購買、販売、営業、価格決定など多方面にわたり分離・独立した取引部門を維持する」という措置が賦課されていました。企業結合案件に対して構造的措置と行為的措置を同時に課すことは、商務部の手法の特徴になりつつあります。しかし、この独立運営という措置の意味は何でしょう?企業は資金調達、規模経済と効率経済、競争力を強める、企業価値を最大化する経営統合等の理由で合併しますが、この「独立運営」の影響により、多方面にわたり分離・独立した取引部門を維持する、及び市場に関する情報を交換してはならないことになってしまって、結局、簡単に言われば、独立運営の影響で、合併の意味が失います。やはりこれは中国商務部のユニックな問題解消措置で、EUには珍しい条件でも言えます。深く分析すれば、商務部独占禁止局の人的資源が足りなくて、毎月大量な事前届け出が殺到して、「独立運営」という措置を採り、審査も終えるし、競争上の問題にも回避できるのではないかと考えられます。しかし、企業側にとってこれは到底不公平ではないでしょうか?将来、なるべく「独立運営」という措置を回避することが望ましいと思っております。

が、次回の報告は終わったら、また皆さんに報告させて頂きます。

以上は今回の発表内容の報告です。