一橋大学

EUワークショップ・報告者コメント(13)

2014年11月14日法学研究科

EUワークショップ・報告者コメント(13)

経済学研究科修士2年

今西 雄也

今回の本ワークショップでは、航空自由化(オープンスカイ政策)や欧州の航空行政について、法律や制度面、そして航空産業の成長度合いや競争原理の導入による産業内の変化について検討するなど、多角的に航空自由化に関して報告を行いました。前回の報告で指摘がなされた点の中でも、今回は素人ながらEU法における国籍条項や欧州共同体(EC)の排他的権限事項を扱った、いわゆる「オープンスカイ事件」、そして航空産業の中でEU競争法が適用された、航空会社2社による買収案件である「IAG/BMI事件」の内容を考察しながら、オープンスカイ政策や協定締結に向けた政策意思決定プロセスについて、アメリカとのオープンスカイ協定締結を例にとって、日本の場合と比較しながら報告を行いました。ここでの議論に関しては、法律関係の話は初心者である私に対して、中西先生が丁寧に、かつ詳細に教えて下さいました。また、以前に遡って航空産業内で行われた問題解決手続きや競争激化の推移を考察していくことによって、これまで視えて来なかった視点から航空自由化について検証を行うことができた有意義な機会でした。修士論文では、1980年代後半の国際競争力強化を目的とした競争原理の導入、更に格安航空会社(LCC)の参入によって競争が激しくなったことによって、航空産業の生産性向上、もしくは成長を阻害しているか否か、そして今後の日本の航空産業や航空行政でとっていくべき戦略はどのようなものかという2点の問題意識のもとで、全要素生産性(TFP)の概念を入れながら、現在執筆を行っているところです。