一橋大学

5月24日 EUワークショップ 報告者コメント

2017年6月12日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

 

2017524EUワークショップ報告者コメント

 

 

法学研究科 博士後期課程 本庄萌

 

 

 

2017524日のEUワークショップでは、「動物法の理論と個別的な動物福祉法の分析: 日・欧の畜産動物福祉法に関する比較検討」と題した発表をさせていただいた。これまでEUの個別的な法、とりわけEUの畜産動物福祉法や実験動物福祉法の法制度の内容や運用状況について報告を行ってきたが、今回はそれらの背景となる基礎理論の整理を試みた。これにより、EUにおける動物法の特徴への理解を深め、理論と実践を架橋する研究への足がかりとした。

 

 

報告後の質疑応答では、様々な質問、コメントをいただいた。なかでも、今回は動物福祉の特徴を際立たせるために動物の権利論の説明をした。それに関して、ドナルドソン&キムリッカによる動物への市民権付与論(動物の権利論の新しいアプローチ)は、人との関係性に応じて市民権を与えるか判断している点において、人間中心主義から抜け出せていないのではないか、というコメントをいただき、大変興味深かった。また、多文化主義との関係性について質問を受け、関連文献の精読の必要性を実感するに至った。また、動物の権利論などの話を出すことで、キーワードが多くなり混乱を招くといった指摘を受け、重要な用語をまとめて図式化する必要性などが確認された。今後は、理論と個別法の照らし合わせや、個別法の検討結果の取りまとめを進めていきたいと考える。