一橋大学

2019年5月22日 EUワークショップ 報告者コメント

2019年5月23日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

 

EUワークショップ 2019522日報告者コメント

 

 

 

 

EU法を専攻しています吉本です。522日のEUワークショップでは、「EUの共通外交安全保障政策(Common Foreign and Security Policy (CFSP))の変容――EU司法裁判所の管轄権――」というタイトルの下、EU司法裁判所の裁判管轄権に注目し、政府間主義的な性質を残しているCFSPがどのように共同体法秩序化しているかについて報告しました。

 

まず、CFSPがどのような特徴を有していることから政府間秩序であると考えられているか、CFSP以外の政策はどのような理由から共同体法秩序であるととらえられているのか、そして、CFSPについては裁判管轄権が及ばないことを説明しました。次に、CFSPに関する事案について裁判管轄権を認めたEU司法裁判所の近年の判決を4つの判決を取り上げ、これらの判決で示された裁判管轄権拡大の正当化根拠の傾向を提示しました。そのうえで、昨今の実務の動きという観点から、判決の傾向について疑問点を挙げました。この疑問点を深めることが今後の研究の課題です。

 

質疑応答では、判決で示されたderogationの含意および和訳(私は適用除外と和訳しましたが、裁判所によって示されたCFSPに裁判管轄権が及ばないことの異常性がこの和訳では表現されていないこと)について指摘を受けました。Derogationは、今回の報告のキーワードであることから、この言葉が使われた背景や含意に注意を払い研究を進めていきます。