一橋大学

2017年7月5日 EUワークショップ 報告者コメント

2017年7月21日中西優美子(Yumiko NAKANISHI)

EUワークショップ 2017年7⽉5⽇ 報告者コメント ヨーロッパ市民社会における環境政策分野への市民参加 法学研究科 国際関係論専攻 修⼠課程1年 廖虹嫣

 

7⽉5⽇のEUワークショップに「ヨーロッパ市民社会における環境政策分野への市民参加」とい うテーマに関して報告をさせていただきました。

この20年以上にわたって、ヨーロッパにおける市民団体は⽂化外交政策への影響⼒が増してき ました。そのアプローチは、さまざまであって、例えば、仲介的機能を果たす機関や財団法⼈の ような公益法⼈、⾮政府団体(NGO)、観光プログラム、国際会議、助成⾦プログラムなど、あら ゆるルートを通じて⾏われています。 また、対話には、宗教と政治の関係、教育、科学、経済改 ⾰、汚職防⽌、環境保護、紛争解決メカニズムといったテーマのみならず、基本的⼈権、法治、 政治参加、 グッドガバナンス、労働組合設⽴、出版の⾃由、社会における⼥性の地位などもテー マとして含まれています。

なぜ環境政策分野への市民参加は諸分野の中にもっとも進んだ部分になったのかという疑問を 念頭に置いて、まずは、環境政策分野における市民参加の法形成について考察を加え、EU諸機関 に対する欧州 NGOsの利益を代表するために1974年に設⽴された欧州環境事務局(EEB) の活動と、 環境に関する政策決定過程への参加、環境に関する司法へのアクセスの三分野において、各国内 の法制化•制度化を促し、これらの権利を保障することにより、環境分野における市民の権利の確 ⽴、市民参加を促すことを⽬的としている「環境に関する、情報へのアクセス、意思決定におけ る市民参加、司法へのアクセスに関する条約(オーフス条約)」の特徴を簡単に分析しました。 次に、2000年に採択された「⽔政策の分野における共同体の措置の枠組を定める欧州議会•理事会 指令 2000/60/EC(⽔政策枠組指令)」に基づく実施されたHarmoniCOPプロジェクトの中に「市民 参加」に関する具体的な⾏動⼿続き、段階や基準をまとめました。

本報告では、EUにおける市民参加による協働を進める上で有効となる考え⽅及び課題等を明ら かにし、⽔政策枠組指令における市民参加の仕組を確認しました。この分析内容はEUの環境政策 分野の他の側⾯やプロジェクトへの市民参加を研究するこきに参照になれると思います。

ご意⾒やご質問をくださった皆さまからも、ヨーロッパの⽔分野をめぐる歴史的なアプローチ や、様々な分野に活躍している市民団体の情報をいただき、⼤変参考になりました。